問題を多視点から見るには?

by 内村 政光

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

何回言っても同じ間違いを犯す山本さんの料理法とは

 

山田マネージャは、部下の山本さんのことで頭を抱えていました。

というのも、山本さんには何度同じことを言っても、その時は

「あっ、その通りですね。注意します」と素直に認めるのですが、

3日もすると、また同じことをやってしまうのです。

 

こんな人ってあなたの周りにもいませんか?

“いるいる”と思わずつぶやいた方、この話は参考になるかもしれません。

 

山本さんは、レストランのホール係りとして、お客様に食事をサーブしています。

あなたも体験があるかもしれませんが、温かい食事は温かいうちに、

冷たいものは、冷たいうちに出されるのがお客様としては当然と考えています。

 

つい先だっても、山本さんは、うっかりしてスープが冷めてから出そうとするのを

山田マネージャに止められたばかりです。

 

“山本の奴、何とかなりませんかね?”と相談を受けた時、

筆者は次のように尋ねました。

 

いろいろ言い換えてみる

 

1.なぜ、温かい食事は温かいうちに、

  冷たいものは、冷たいうちに出さないといけないのか?

  “食事を美味しく召し上がってもらいたいから”

 

2.なぜ、食事を美味しく召し上がってもらいたいのか?

  “お客様にもっと来てもらいたいから”

 

3.なぜ、お客様にもっと来てもらいたいのか?

  “売り上げを伸ばしたいから”

 

4.なぜ、売り上げを伸ばしたいのか?

  “商売繁盛させたいから”

 

5.なぜ、商売繁盛させたいのか?

  “商売繁盛の要因はマネージャにあると認めてもらいたいから”

 

6.なぜ、商売繁盛の要因はマネージャにあると認めてもらいのか?

  “ヘッドハンティングをされたいから”

 

ここまで伺ったところで、この課題をさまざまな形に言い換えてみると・・・

 

1.食事を美味しく召し上がってもらうにはどのような方法があるのか?

 

2.お客様にもっと来てもらうためにはどのような方法があるのか?

 

3.売り上げを伸ばすためにはどのような方法があるのか?

 

4.商売繁盛させるためにはどのような方法があるのか?

 

5.商売繁盛の要因はマネージャにあると認めてもらうにはどのような方法があるのか?

 

6.ヘッドハンティングされるにはどのような方法があるのか?

 

そして“自分にしっくりくる言い方はどれでしょうか?”と尋ねました。

 

ここでは、1.食事を美味しく召し上がってもらうにはどのような方法があるのか?

に落ち着き、その結果山本さんを含む部下全員に対し10秒ルールをつくり、

実行することになりました。

 

ほかにも、当初の問題とは離れますが、

3.売り上げを伸ばすためにはどのような方法があるのか?だとすると、

今までの料理を組み合わせてスペシャルメニューをつくるとか、

場所をレンタルするなど別の事業を始めるという手もあるなど、方法はいろいろ

でてきます。

 

このように問題を捉える場合、言い方を変えて問題の一部分に注目します。

そして、問題を具体的に言い表してみるとそれに対するアイディアが

浮かんできやすくなるのです。

 

次回は、この話の裏話をお伝えしますね。

 

お楽しみに!